#00さん
2015年06月12日
ファン必見 Novel『Raider Nation』後編 by#00さん
sahaっす
それでは#00さんの作品『Raider Nation』後編をお楽しみください…
※前半はこちらから
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「君、名前は?」
「余です」
「アマリ!」
「何と!やはり君は生まれながらのRaider Nationだ」
「え?どういうことですか?」
「今年のドラフト一巡、期待の星と同じ名前なんじゃよ、アマリ・クーパー、才能溢れるWRじゃぞ」
「アマリって…ファーストネームでしたか」
「君のファーストネームは?」
「義男です」
「ヨシオ…シオ!」
「塩?」
「違う、シオ・ムーア、これからレイダースのディフェンスを牽引するようになるであろう若きLBじゃよ…そう言えばさっきの封筒をもう一度」
「これですか?」
「さっきは良く見なかったが…マック商会じゃと?」
「それも何か?」
「シオと一緒にレイダースを牽引するであろう、若きスターの名前…ん?そう言えば『愛され続けて52年』じゃったな」
「え、ええ…」
「断言しよう、君の会社の社長もRaider Nationじゃよ」
「なぜ?」
「マックの背番号が52なんじゃよ」
「ああ…それで半端な年数なのにこんなキャッチフレーズを…」
「マスター!#89のジャージはあるかね?」
「ああ、昨日届いたばかりだ」
「彼に着せてやってくれんか?アマリ君に」
「もちろんだよ」
#89のジャージを着て皆と一緒に生まれた日に行われた一大スポーツイベントを観戦した。
それまでルールも知らなかったが、映像を見ながら解説してもらえばそう難しいものでも無い、後半が始まる頃には皆と一緒に楽しむことができるようになった。
画面では#32が縦横無尽に走り回り、#16から#21へのパスも面白いように決まってレイダースの圧勝、大いに盛り上がった。
「ああ、面白かった」
勝利を祝って乾杯した後、#00の老人と入り口近くのテーブルに戻った。
「それは良かった、君のおかげで皆も盛り上がったよ」
「レイダースって強いですねぇ、いわば決勝戦でしょ?それをあんなに圧勝で」
「残念ながら今は少し苦しい時期が続いておるがな」
「そうなんですか?」
「2002年のスーパーボウルに敗れて以来、勝ち越したシーズンがまだないのじゃよ」
「えっ?…そんなに長く?」
「甦るチャンスはあった…だが、あいつに賭けたのが間違いの元じゃったんだ」
#00の老人はドアマットを指差した。
「それで皆が踏みつけるドアマットに背番号を?」
「まあ、そう言うことじゃ…才能あふれる選手じゃったが、努力すると言うことを知らん怠け者でな、期待が大きかっただけに落胆も大きかった…」
「なるほど、そうだったんですか…でも、12年も勝ち越していないのに応援し続けるファンがいるなんて最高じゃないですか」
「ああ、それは我らの誇りじゃな…それにシオ、マック、クーパー、カーと言った若く有能なスター候補は目白押しじゃ、近い将来、いや今年にでもレイダースは甦ると信じておるよ」
「僕も信じます、今日はとても楽しかった」
「ああ、我らもじゃ…」
翌日、地元に戻った義男はすっかりフットボールの、レイダースのファンになり、シーズンの到来を待ちわびた。
2015シーズン、レイダースは若い力とベテランの経験が、オフェンスとディフェンスががっちりとかみ合い、快進撃を見せてスーパーボウル進出を決めた。
義男はぜひあの店でスーパーボウルを共に見たい、レイダースを応援したいと思い、有給を取って上京、渋谷に向かった。
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それでは#00さんの作品『Raider Nation』後編をお楽しみください…
※前半はこちらから
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「君、名前は?」
「余です」
「アマリ!」
「何と!やはり君は生まれながらのRaider Nationだ」
「え?どういうことですか?」
「今年のドラフト一巡、期待の星と同じ名前なんじゃよ、アマリ・クーパー、才能溢れるWRじゃぞ」
「アマリって…ファーストネームでしたか」
「君のファーストネームは?」
「義男です」
「ヨシオ…シオ!」
「塩?」
「違う、シオ・ムーア、これからレイダースのディフェンスを牽引するようになるであろう若きLBじゃよ…そう言えばさっきの封筒をもう一度」
「これですか?」
「さっきは良く見なかったが…マック商会じゃと?」
「それも何か?」
「シオと一緒にレイダースを牽引するであろう、若きスターの名前…ん?そう言えば『愛され続けて52年』じゃったな」
「え、ええ…」
「断言しよう、君の会社の社長もRaider Nationじゃよ」
「なぜ?」
「マックの背番号が52なんじゃよ」
「ああ…それで半端な年数なのにこんなキャッチフレーズを…」
「マスター!#89のジャージはあるかね?」
「ああ、昨日届いたばかりだ」
「彼に着せてやってくれんか?アマリ君に」
「もちろんだよ」
#89のジャージを着て皆と一緒に生まれた日に行われた一大スポーツイベントを観戦した。
それまでルールも知らなかったが、映像を見ながら解説してもらえばそう難しいものでも無い、後半が始まる頃には皆と一緒に楽しむことができるようになった。
画面では#32が縦横無尽に走り回り、#16から#21へのパスも面白いように決まってレイダースの圧勝、大いに盛り上がった。
「ああ、面白かった」
勝利を祝って乾杯した後、#00の老人と入り口近くのテーブルに戻った。
「それは良かった、君のおかげで皆も盛り上がったよ」
「レイダースって強いですねぇ、いわば決勝戦でしょ?それをあんなに圧勝で」
「残念ながら今は少し苦しい時期が続いておるがな」
「そうなんですか?」
「2002年のスーパーボウルに敗れて以来、勝ち越したシーズンがまだないのじゃよ」
「えっ?…そんなに長く?」
「甦るチャンスはあった…だが、あいつに賭けたのが間違いの元じゃったんだ」
#00の老人はドアマットを指差した。
「それで皆が踏みつけるドアマットに背番号を?」
「まあ、そう言うことじゃ…才能あふれる選手じゃったが、努力すると言うことを知らん怠け者でな、期待が大きかっただけに落胆も大きかった…」
「なるほど、そうだったんですか…でも、12年も勝ち越していないのに応援し続けるファンがいるなんて最高じゃないですか」
「ああ、それは我らの誇りじゃな…それにシオ、マック、クーパー、カーと言った若く有能なスター候補は目白押しじゃ、近い将来、いや今年にでもレイダースは甦ると信じておるよ」
「僕も信じます、今日はとても楽しかった」
「ああ、我らもじゃ…」
翌日、地元に戻った義男はすっかりフットボールの、レイダースのファンになり、シーズンの到来を待ちわびた。
2015シーズン、レイダースは若い力とベテランの経験が、オフェンスとディフェンスががっちりとかみ合い、快進撃を見せてスーパーボウル進出を決めた。
義男はぜひあの店でスーパーボウルを共に見たい、レイダースを応援したいと思い、有給を取って上京、渋谷に向かった。
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saha4678 at 08:45|Permalink│Comments(4)
2015年06月10日
ファン必見 Novel『Raider Nation』前編 by#00さん
sahaっす
今回、ご紹介する Novel『Raider Nation』は、いつも当blogにコメントを寄せて下さる#00さんの作品です。
東京渋谷のバーを舞台にした、あるサラリーマンの話ですが、#00さんのRAIDERSに対する情熱が心地よく伝わってくる、とてもハートフルな作品となっています。
是非癒されてください。
では…
__________________________
「へえ、こんな店あったっけ…」
義男はふと足を止めた。
義男は商談のために東京に出張して来たビジネスマン、商談は思った以上の成果を上げることができ、電話口の部長も上機嫌、金曜のことでもあり、このまま一泊したいと申し出ると「特別だぞ」と言ってOKを出してくれた。
地元の会社に勤めているが、学生時代をこの東京で過ごした義男は、その頃良く遊んだ渋谷の町をぶらぶらしたいと思ったのだ。
渋谷はほぼ10年ぶり、街の雰囲気もかなり変わったが、店はそれにも増して入れ替わっている。
友達と良く飲んだ店を訪ねてみたが別の店になっていた。
当時、合コンで彼女をゲットした店にも行ってみたが、そこも空振り。
その彼女と何度かデートした店にまで行ってみたが、そこも看板が変わっていた。
(まあ、どれもこれも若向きの店だったしな…仕方ない、適当に落ち着いた店を探そう)
そう思ってぶらぶらしていた時に黒い扉が目に留まった。
『Raider Nation』
どうやらバーらしいのだが、黒い扉に銀色で海賊らしき眼帯をした男の顔が描かれていて、その上に店名が記されている、色合いはシックだが、カジュアルでスポーティ、洗練されていて勇壮な感じもする。
義男は31歳、高級バーで飲むほど金はないし、持っていたとしてもあまり高級店では落ち着かない、と言って若向きの騒がしい店もまた違う意味で落ち着けない。
そんな31歳にとって、この扉の雰囲気はなんとなくしっくり来る…。
(この雰囲気ならそうめちゃめちゃに高い店ってこともないだろうな、高かったら一杯だけ飲んで出ちゃえば良いし…)
そう思って義男は黒い扉を開いて中を伺った。
どうやらスポーツバーらしい、奥の壁にスクリーンが備え付けられていて、スポーツの試合が流れている。
ちょっとばかり映像が古めかしいが、スポーツバーなら安心だ、義男は足を踏み入れた。
『Just win baby!!』
扉と同じ黒字に銀で『2』と染め抜いてあるドアマットを踏むと、いきなり頭上から大きな声が降って来た。
見上げると、なにやら祭壇のようなものがあり、ビシッと決めたオールバックにサングラス、黒いジャンパーを着た精悍な男性の写真がかかげられている。
そして、その声を聴くと、店中の客がいっせいに振り向き、義男はちょっとたじろいだ。
と言うのは全員が同じシャツ…いや、ジャージを着ている、もちろん黒と銀の…。
「この店は初めてかね?」
一番近くのテーブルに座っていた、#00のジャージを着た老人が声をかけてきた。
「え、ええ…東京は10年ぶりなものですから」
「10年?何を言ってるんだ、この店は1960年からここにあるよ」
「え?…でも、東京の大学に通っていましたから渋谷は良く来ましたし、この近くの店には何度も・・・でもこんな店はありませんでしたよ」
「ふむ…その封筒を見せてくれ」
「これですか?会社のパンフレットが入っているだけですが」
「いや、中身じゃなくて封筒だよ…やはりな」
「なにが『やはり』なんですか?」
「その封筒に書いてある文字じゃよ」
「文字?『愛され続けて52年』ですか?」
「その数字じゃよ、その数字が君をここに呼び寄せたんじゃ」
「数字って52ですか?まあ、確かに50年とか60年ならともかく、52年ってのは半端ですよね…でも52が何か?」
「ここでは特別な意味を持つ数字なんじゃよ」
「あなたの#00も?」
「そうじゃ、皆特別な数字を持っていてな…見ろ」続きを読む
今回、ご紹介する Novel『Raider Nation』は、いつも当blogにコメントを寄せて下さる#00さんの作品です。
東京渋谷のバーを舞台にした、あるサラリーマンの話ですが、#00さんのRAIDERSに対する情熱が心地よく伝わってくる、とてもハートフルな作品となっています。
是非癒されてください。
では…
__________________________
「へえ、こんな店あったっけ…」
義男はふと足を止めた。
義男は商談のために東京に出張して来たビジネスマン、商談は思った以上の成果を上げることができ、電話口の部長も上機嫌、金曜のことでもあり、このまま一泊したいと申し出ると「特別だぞ」と言ってOKを出してくれた。
地元の会社に勤めているが、学生時代をこの東京で過ごした義男は、その頃良く遊んだ渋谷の町をぶらぶらしたいと思ったのだ。
渋谷はほぼ10年ぶり、街の雰囲気もかなり変わったが、店はそれにも増して入れ替わっている。
友達と良く飲んだ店を訪ねてみたが別の店になっていた。
当時、合コンで彼女をゲットした店にも行ってみたが、そこも空振り。
その彼女と何度かデートした店にまで行ってみたが、そこも看板が変わっていた。
(まあ、どれもこれも若向きの店だったしな…仕方ない、適当に落ち着いた店を探そう)
そう思ってぶらぶらしていた時に黒い扉が目に留まった。
『Raider Nation』
どうやらバーらしいのだが、黒い扉に銀色で海賊らしき眼帯をした男の顔が描かれていて、その上に店名が記されている、色合いはシックだが、カジュアルでスポーティ、洗練されていて勇壮な感じもする。
義男は31歳、高級バーで飲むほど金はないし、持っていたとしてもあまり高級店では落ち着かない、と言って若向きの騒がしい店もまた違う意味で落ち着けない。
そんな31歳にとって、この扉の雰囲気はなんとなくしっくり来る…。
(この雰囲気ならそうめちゃめちゃに高い店ってこともないだろうな、高かったら一杯だけ飲んで出ちゃえば良いし…)
そう思って義男は黒い扉を開いて中を伺った。
どうやらスポーツバーらしい、奥の壁にスクリーンが備え付けられていて、スポーツの試合が流れている。
ちょっとばかり映像が古めかしいが、スポーツバーなら安心だ、義男は足を踏み入れた。
『Just win baby!!』
扉と同じ黒字に銀で『2』と染め抜いてあるドアマットを踏むと、いきなり頭上から大きな声が降って来た。
見上げると、なにやら祭壇のようなものがあり、ビシッと決めたオールバックにサングラス、黒いジャンパーを着た精悍な男性の写真がかかげられている。
そして、その声を聴くと、店中の客がいっせいに振り向き、義男はちょっとたじろいだ。
と言うのは全員が同じシャツ…いや、ジャージを着ている、もちろん黒と銀の…。
「この店は初めてかね?」
一番近くのテーブルに座っていた、#00のジャージを着た老人が声をかけてきた。
「え、ええ…東京は10年ぶりなものですから」
「10年?何を言ってるんだ、この店は1960年からここにあるよ」
「え?…でも、東京の大学に通っていましたから渋谷は良く来ましたし、この近くの店には何度も・・・でもこんな店はありませんでしたよ」
「ふむ…その封筒を見せてくれ」
「これですか?会社のパンフレットが入っているだけですが」
「いや、中身じゃなくて封筒だよ…やはりな」
「なにが『やはり』なんですか?」
「その封筒に書いてある文字じゃよ」
「文字?『愛され続けて52年』ですか?」
「その数字じゃよ、その数字が君をここに呼び寄せたんじゃ」
「数字って52ですか?まあ、確かに50年とか60年ならともかく、52年ってのは半端ですよね…でも52が何か?」
「ここでは特別な意味を持つ数字なんじゃよ」
「あなたの#00も?」
「そうじゃ、皆特別な数字を持っていてな…見ろ」続きを読む
saha4678 at 03:05|Permalink│Comments(2)